「亜鉛で髪が伸びる」という噂を聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか?
亜鉛は、私たち人間の身体にとって欠かせないミネラルの1つで、健康な髪の毛を育てるためにも重要な役割を果たしています。抜け毛や薄毛が気になる方は、ぜひ積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。
とはいえ、亜鉛の摂取には、いくつか注意したいこともあります。
そこで今回は、亜鉛が髪の毛によいと言われる理由について解説します。亜鉛の効率的な摂取方法や亜鉛を摂取する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
亜鉛と取ると髪の毛が伸びると言われる理由とは
5大栄養素と呼ばれる「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」は、人間が生きるために欠かすことができない栄養素です。5大栄養素の中のミネラルの1つが、亜鉛です。
髪の毛の合成に必要不可欠な亜鉛は、摂取することで髪の毛が伸びるとも言われています。ではどのような理由で髪の毛に良いと言われているのでしょうか。
健康な髪の毛を育てるサポート役
亜鉛は、髪の毛の主成分であるたんぱく質「ケラチン」の合成をサポートします。ケラチンは、髪の毛はもちろん、皮膚の表皮や爪などを構成するたんぱく質です。
髪の毛の約90%がケラチンで構成されており、熱や摩擦、化学物質などから髪の毛を守る役割があります。健康な髪の毛を保つためには、ケラチンはなくてはならない存在と言えるでしょう。
正常なヘアサイクルに戻す働きがある
髪の毛にはヘアサイクルがあり、「成長期」「退行期」「休止期」の3つに分かれています。ヘアサイクルの仕組みは、以下の通りです。
ヘアサイクルについて | 期間 | 詳細 |
---|---|---|
成長期 | およそ2〜6年 | 毛母細胞が分裂し、髪の毛が成長する |
退行期 | およそ2〜3週間 | 毛母細胞の活動が低下し、髪の毛の成長が止まる |
休止期 | およそ2〜3か月 | 髪の毛の成長が停止し、自然に抜け落ちる |
毛母細胞の分裂過程をコントロールするのに欠かせないのが、「酵素」です。亜鉛には、酵素の活性化をサポートする働きがあり、乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻す効果が期待できます。
AGAの進行を抑える効果に期待
AGAとは「男性型脱毛症」のことで、日本人男性の3人に1人がAGAと言われています。
AGAは、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されることで起こる脱毛症で、頭頂部や生え際の髪の毛が薄くなるのが特徴です。
DHTは、体内にあるテストステロンが還元酵素「5α-リアクターゼ」によって変換され生成されます。現在、研究段階でまだ科学的な根拠はありませんが、亜鉛は、DHTを生成させる要因の1つである「5α-リアクターゼ」を抑制する作用があると言われています。亜鉛を摂取することで、AGAによる薄毛の進行を抑制する効果が期待されています。
髪の毛に良い亜鉛サプリの摂取方法とは?
5大栄養素の1つであるミネラルは、体内で作り出すことができません。そのため、亜鉛をはじめとしたミネラルは、食事から摂取する必要があります。
薄毛対策として亜鉛を取り入れるなら、より効率的に摂取したいですよね。ここでは、薄毛対策として亜鉛を取り入れるなら、ぜひ知っておきたい摂取方法を一緒に確認しましょう。
亜鉛を多く含む食べ物
健康な髪の毛を育てるためには、さまざまな食品からバランスよく栄養を摂取するのが理想です。
しかし、すべての食品に亜鉛が含まれているわけではなく、含有量もそれぞれの食品で異なります。亜鉛の含有量が多い食品をチョイスして、効率的に摂取するのがおすすめです。
亜鉛の含有量が多い主な食品は、以下の通りです。
亜鉛の含有量が多い食品
食品 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
牡蠣 | 13.2mg |
煮干し | 7.2mg |
純ココア | 7mg |
レバー(豚) | 6.9mg |
松の実 | 6mg |
カシューナッツ | 5.4mg |
牛肩肉(赤身) | 4.9mg |
卵黄 | 4.2mg |
亜鉛の含有量が多い食品には、牡蠣やレバーなど普段の食卓にはあまり並ばない食品も多いため、亜鉛不足に陥る方は少なくありません。食事から亜鉛を摂取するのがベターではありますが、上手にサプリメントを活用するのもおすすめです。
亜鉛の吸収を促進させる成分
亜鉛と一緒に摂取することで、亜鉛の吸収を促進させる効果が期待できる成分があります。亜鉛の吸収を促進させる主な成分と代表的な食品は、下記の通りです。
亜鉛の吸収を促進させる主な成分と代表的な食品
成分 | 代表的な食品 |
---|---|
動物性たんぱく質 | 豚肉・鶏肉・牛肉・いわしやあじの干物・まぐろ・卵・牛乳・チーズなど |
クエン酸 | レモン・かぼす・みかん・シークワーサーすだち・お酢・梅干しなど |
ビタミンC | アセロラ・グアバ・ゆず・キウイフルーツ・柿・いちごなど |
上記を参考に、亜鉛が多く含まれる食品と組み合わせて、上手に献立を考えましょう。
亜鉛を摂取するタイミング
亜鉛の腸管吸収率は、およそ30%と言われており、一度にたくさん摂取しても体内に吸収される量は限られてしまいます。亜鉛は、小分けに摂取する方がより効率的に摂取できます。
1日2〜3錠服用するタイプのサプリメントを利用する場合は、時間帯を分けて摂取するようにしましょう。また、亜鉛の吸収率は、朝よりも夜の方がよいと言われています。1日1錠タイプのサプリメントの場合は、空腹時を避けて夜に飲むのがおすすめです。
ただし、メーカーによって用法容量は異なるため、必ずラベルを確認してから摂取するようにしましょう。
亜鉛を摂取する際の4つの注意点
健康な髪の毛を育てるために欠かせない亜鉛ですが、摂取する際はぜひ知っておきたい注意点が4つあります。
ここでは、亜鉛を摂取する際の注意点を一緒に確認しましょう。
サプリメントは過剰に摂取しない
亜鉛を摂取することで、健康な髪の毛を育てるのはもちろん、免疫力向上や新陳代謝の活性化、味覚の維持などさまざまな健康効果が期待できます。
とはいえ、亜鉛の過剰摂取は禁物です。亜鉛を過剰摂取すると、吐き気やめまい、胃腸障害などの不調が現れることも考えられます。さらに、継続的に亜鉛を過剰摂取することで、銅の吸収を阻害し「銅欠乏症」を引き起こす可能性もあります。
「銅欠乏症」により起こり得る症状は、下記の通りです。
- 貧血
- 毛髪異常
- 免疫障害
- 善玉コレステロールの低下
- 下痢
比較的、亜鉛の毒性は低いと言われていますが、過剰摂取により身体に悪影響をおよぼす可能性があることは知っておきましょう。
1日あたりの亜鉛摂取量の目安
亜鉛の過剰摂取を防ぐためにも、1日あたりの亜鉛摂取量の目安を知っておくことは大切です。
亜鉛摂取量の目安
平均摂取推奨量 (1日あたり) | 安全な上限値 (1日あたり) | |
---|---|---|
男性(成人) | 11mg | 40mg |
女性(成人) | 8mg | 40㎎ |
妊娠中の女性(成人) | 11㎎ | 40㎎ |
授乳中の女性(成人) | 12㎎ | 40㎎ |
女性の場合、妊娠中や授乳中の抜け毛が気になるというケースは少なくありません。妊娠中や授乳中は、特に意識して亜鉛を摂取するようにしましょう。
サプリメントに頼りすぎない
普段の食事から亜鉛を摂取するのは、なかなか難しいですよね。サプリメントを利用して、亜鉛を摂取したいという方も多いのではないでしょうか?忙しい毎日を送る方にとって、サプリメントは大変便利ですよね。
しかし、あくまでもサプリメントは栄養補助食品でしかありません。できるだけ1日3食の食事から亜鉛を摂取し、足りない分をサプリメントで補うようにしましょう。
また、サプリメントに頼りすぎてしまうと、どうしても普段の食生活がおろそかになりがちです。健康な髪の毛を育てるために必要な栄養素は、亜鉛だけではありません。
普段の食生活を見直し、さまざまな食材を組み合わせたバランスのよい食事を心がけましょう。
食べ合わせにも配慮が必要
せっかく食事やサプリメントで亜鉛を摂取しても、一緒に食べる食品によっては、亜鉛の吸収を阻害する可能性があります。亜鉛を摂取する際は、食べ合わせにも配慮が必要です。
亜鉛の吸収を阻害する主な成分と代表的な食品は、下記の通りです。
亜鉛の吸収を阻害する主な成分と代表的な食品
成分 | 代表的な食品 |
---|---|
フィチン酸 | 豆類・穀物など |
タンニン | コーヒー・紅茶・緑茶など |
リン酸 | 玄米・カニ・いくら・がんもどき・きなこなど |
食物繊維 | 大根・ごぼう・ブロッコリーなど |
亜鉛のサプリメントを摂取する際は、コーヒーや緑茶などではなく、水で服用するようにしましょう。
まとめ
亜鉛は、乱れたヘアサイクルを正常に戻す働きがあり、健康な髪の毛を育てるために欠かせない栄養素の1つです。
薄毛対策に効果があるからといって、安易に亜鉛を摂取するのは危険です。亜鉛の過剰摂取は、吐き気やめまい、胃腸障害などの不調が現れたり、銅欠乏症を引き起こす可能性もあります。1日あたりの摂取量を守り、できるだけ食事から摂取するよう心がけましょう。特にサプリメントを利用する場合は、注意が大切です。
亜鉛の摂取による薄毛対策は、あくまでも健康な髪の毛を育てるためのサポートでしかありません。
薄毛の進行が気になる場合は、1人で悩むのではなく、サロンやクリニックに相談するのも1つの方法です。サロンやクリニックでは、1人ひとりの頭皮の状態を確認し、薄毛の原因に合わせて最適な提案をしてもらえます。無料相談を実施しているサロンやクリニックも多いため、ぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか?