頭皮の透け感が気になり出した時や、いつもより抜け毛の本数が多いと感じる時、もしかしたらこのまま薄毛になってしまうのでは?と心配される方も少なくありません。
正常な抜け毛か危険な抜け毛の見分け方として「毛根の違い」があります。本記事では、その毛根の見極め方について詳しく解説します。
抜け毛は誰にでも起こる自然な現象

まず第一前提として、抜け毛は誰しもに起きる自然現象であるため、悲観する必要はありません。季節やその時の体調によっても抜け毛の本数は変動します。
まずは髪の毛が生えてから抜け落ちるまでのメカニズムを理解しましょう。
ヘアサイクル(毛周期)とは?
髪の毛はヘアサイクルと呼ばれるサイクルを循環して、成長し抜けることを繰り返しています。具体的には以下のようなサイクルとなります。
- 成長期:3〜6年程度で毛が太く長く成長
- 退行期:約2週間で毛の成長が止まる
- 休止期:約3〜4ヶ月で毛が自然に抜け落ちる
人は1日に 50〜100本程度 の抜け毛があるのが正常範囲です。毛周期に基づいた自然現象であり、すべての抜け毛が危険というわけではありません。
抜け毛本数の目安
| 状態 | 抜け毛本数(1日) | 判定 |
|---|---|---|
| 50〜100本 | 正常 | 毛周期による自然な抜け毛 |
| 100〜150本 | 注意 | 一時的な体調やストレスが影響 |
| 150本以上 | 危険 | AGAや頭皮トラブルの可能性 |
上記についてはあくまで目安です。
日本人の髪の毛の総本数が平均10万本と言われることから1日の抜け毛の本数として、平均50-100本程度と推測されています。そのため、毛量が多い人、毛量が少ない人の場合はこの基準値が多少前後します。
正常な抜け毛の毛根の特徴とは?

では一般的に健康なヘアサイクルのもと抜け落ちる抜け毛の毛根にはどんな特徴があるのでしょうか。
確認していきましょう。
毛根にフケや炎症がない状態
正常な抜け毛の毛根は清潔で、フケや皮脂、炎症の跡が見られません。
頭皮環境が健やかである証拠で、毛穴の詰まりがなく血流も良好な状態です。炎症やフケが付着していると、毛根の成長に悪影響を及ぼし、危険な抜け毛につながることがあります。
毎日のシャンプーや生活習慣の整え方が、毛根を健康に保つポイントです。
チェックポイント
- 毛根に白いフケが付着していない
- 赤みやかゆみが伴っていない
- 毛穴の詰まりが見られない
白く丸い毛根は健康の証拠
毛根が白く丸い形をしているのは、毛周期の休止期を迎え、自然に抜け落ちた証拠です。
これは髪の成長が正常に行われていたサインであり、AGAなどによる異常な脱毛とは異なります。逆に、黒く細い毛根や尖った形の毛根は成長途中で抜けた危険な抜け毛です。
毛根の色や形を観察するだけでも、髪の健康状態を簡単に判断できます。
毛根の見分け方(表)
| 毛根の状態 | 判定 | 特徴 |
|---|---|---|
| 白く丸い | 正常 | 自然に抜け落ちた髪 |
| 黒く細い | 危険 | 成長途中での脱毛 |
| いびつな形 | 注意 | 栄養不足・頭皮トラブルの可能性 |
髪の太さやハリが維持されている
正常な抜け毛は、髪の毛自体が太く、ハリやコシがしっかりしています。
これは毛母細胞が十分に働き、毛髪が健康に成長していた証拠です。危険な抜け毛の場合は、髪が細く弱くなり、弾力を失って抜け落ちます。髪の質感を確認することも、正常かどうかを判断する大切なポイントです。
健康な抜け毛の特徴
- 太さが均一でしっかりしている
- 弾力があり、指で触れても弱々しくない
- 抜け毛が全体的に細くない
危険な抜け毛の毛根の特徴とは?

では薄毛のリスクがある危険な抜け毛の毛根にはどんな特徴があるか確認していきましょう。
黒く細い毛根は成長期に抜けているサイン
本来、毛髪は成長期を終えてから自然に抜け落ちます。しかし、毛根が黒く細い場合は、成長期の途中で抜けてしまった可能性が高く、AGA(男性型脱毛症)の進行サインであることも多いです。
通常より早く成長が止まることで、太く成長する前に脱毛してしまいます。毛根の色は髪の寿命を見極める重要な指標となります。
チェックポイント
- 毛根が黒く、先端が細い
- 髪が全体的に短く細い
- 抜け毛が増加している
毛根が痩せ細っている・形がいびつ
毛根が痩せ細っている、あるいはいびつな形をしている場合は、髪が十分に成長できずに抜け落ちた証拠です。原因は栄養不足や血流不良、ストレスなどが考えられます。
毛母細胞の働きが弱まると、毛髪が細く弱くなり、結果として抜け毛が増えていきます。放置すると進行性の薄毛につながるため、早期対策が重要です。
危険な毛根の特徴
| 毛根の形状 | 判定 | 背景要因 |
|---|---|---|
| 痩せ細い | 危険 | 栄養不足・血流不良 |
| いびつ | 危険 | 頭皮環境の悪化 |
| 丸い | 正常 | 毛周期を終えた抜け毛 |
フケや炎症、皮脂の異常が付着している場合
毛根にフケや皮脂が過剰に付着している抜け毛は、頭皮環境の悪化を示しています。脂漏性皮膚炎や皮脂過多によって毛穴が詰まり、髪の成長が妨げられている可能性があります。
また、頭皮の炎症が見られると、毛根の健康に直接影響し、異常脱毛を引き起こします。頭皮環境の悪化は放置すると慢性化し、抜け毛の進行を加速させるため注意が必要です。
注意すべきサイン
- 抜け毛の毛根に白いフケが付着
- 皮脂が固まってベタついている
- 頭皮が赤みを帯び、かゆみを伴う
正常な抜け毛と危険な抜け毛の毛根を比較
下記の表は、正常な抜け毛と危険な抜け毛の毛根を比較したものです。
毛根の色や形、本数の変化を観察することで、自分の抜け毛が自然なものか、それとも早期に対策すべきものかを判断する材料になります。
| 項目 | 正常な抜け毛 | 危険な抜け毛 |
|---|---|---|
| 毛根の色 | 白く丸い | 黒く細い、色が濃い |
| 毛根の形 | 丸みがある | 痩せ細い・いびつ |
| 毛幹(毛の太さ) | 太く弾力がある | 細く弱々しい |
| 付着物 | なし(清潔) | フケ・皮脂・炎症跡あり |
| 抜け毛本数 | 1日50〜100本程度 | 1日150本以上が継続 |
| 頭皮環境 | 健康で炎症なし | 赤み・かゆみ・皮脂過多 |
危険な抜け毛が続く場合に考えられる原因

危険な抜け毛が続くには様々な原因があります。では、具体的にどのような原因があるか確認しましょう。
男性型脱毛症(AGA)の進行
AGAは遺伝や男性ホルモン(DHT)の影響で毛周期が短縮し、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまう進行性の脱毛症です。
特に黒く細い毛根や、短く弱々しい髪の抜け毛が増える場合はAGAの可能性が高いです。放置すると薄毛が広がるため、早期の治療が効果的です。
AGAの特徴
- 生え際や頭頂部から薄毛が進行
- 毛根が黒く細い抜け毛が増加
- 成長期が短縮し、髪が太くならない
ストレスや睡眠不足による影響
強いストレスや慢性的な睡眠不足は、自律神経やホルモンバランスを乱し、血流や毛母細胞の働きに悪影響を与えます。
その結果、毛髪が十分に育たず、抜け毛の増加を引き起こします。生活習慣に起因するため、改善によって回復が期待できる点も特徴です。
影響の例
- 成長期の髪が途中で抜け落ちる
- 血流不足により毛根が弱体化
- ストレスで円形脱毛症を誘発する場合も
栄養不足や偏った食生活
髪の成長にはタンパク質・亜鉛・ビタミンなどの栄養素が不可欠です。
食生活が乱れると毛母細胞に栄養が届かず、毛根が痩せ細り抜け毛が増加します。過度なダイエットやジャンクフード中心の生活もリスク要因となります。バランスの良い食事が、抜け毛予防には欠かせません。
不足しがちな栄養素(表)
| 栄養素 | 髪への役割 | 不足時の影響 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン) | 髪が細くなる |
| 亜鉛 | 毛母細胞の活性化 | 成長不良、抜け毛増加 |
| ビタミンB群 | 新陳代謝を促進 | 髪の発育不良 |
頭皮トラブル(脂漏性皮膚炎など)
頭皮に炎症や皮脂の過剰分泌が起きると、毛穴が詰まり毛根が弱まって抜け毛が増加します。
特に脂漏性皮膚炎は、フケやかゆみを伴い、頭皮環境を大きく悪化させます。こうしたトラブルを放置すると毛根へのダメージが続き、慢性的な抜け毛の原因になります。
頭皮トラブルの症状
- 赤みやかゆみが持続
- フケが大量に発生
- 毛根に皮脂が付着しやすい
抜け毛が気になるときの正しい対処法

日々の抜け毛の量が気になる時にどのように対処すれば良いのでしょうか。
当院へ相談される方の中には、「抜け毛が怖いからシャンプーをしない」など誤った判断をされる方もいますので、正しい対処方法を理解しましょう。
1.生活習慣を整える(食事・睡眠・ストレスケア)
髪の健康は、日々の生活習慣に大きく左右されます。バランスの良い食事で必要な栄養を摂取し、十分な睡眠を確保することが大切です。また、ストレスはホルモンバランスを乱し抜け毛を増加させるため、運動や趣味を取り入れてリフレッシュする習慣も効果的です。
生活習慣を見直すことで、毛根の環境が改善され、自然に抜け毛が減る可能性があります。
生活習慣改善のポイント
- タンパク質・ビタミン・亜鉛を含む食事
- 6〜8時間の良質な睡眠
- ストレス解消法を持つ(運動・瞑想・趣味)
頭皮環境を清潔に保つ
頭皮の汚れや皮脂の過剰分泌は毛穴を詰まらせ、毛根に悪影響を与えます。
シャンプーは毎日行うのが基本ですが、強い洗浄力のものは避け、頭皮に優しい製品を使うことが推奨されます。また、正しい洗髪方法を守ることで、毛根の炎症や脂漏性皮膚炎を予防できます。頭皮を清潔に保つことは、抜け毛対策の第一歩です。
頭皮ケアの基本
- 低刺激のシャンプーを使用
- 爪を立てず指の腹で優しく洗う
- 洗髪後はドライヤーでしっかり乾かす
育毛剤やサプリの活用
市販の育毛剤やサプリメントは、抜け毛対策の補助的な手段として有効です。
特にミノキシジル配合の外用薬は血流を改善し、毛根の活動をサポートします。また、亜鉛やビタミンB群を含むサプリは髪の成長に必要な栄養を補えます。ただし、効果には個人差があり、長期的な継続と正しい使用方法が欠かせません。
育毛サポートアイテム(表)
| 種類 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 育毛剤(外用薬) | 血流改善・毛根活性化 | 継続使用が必要 |
| サプリメント | 栄養補給 | 即効性は低い |
| シャンプー | 頭皮環境の改善 | 補助的な役割 |
AGA治療院で専門医に相談する
抜け毛が明らかに増えている、毛根の異常が続いている場合は、専門のAGA治療院で診断を受けるのが最も確実です。
専門医による検査では、毛根の状態やホルモンの影響を科学的に分析し、最適な治療法を提案してもらえます。早期に相談することで進行を食い止められる可能性が高まり、自己判断よりも効率的に改善できます。
専門医に相談するメリット
- AGAかどうかを正確に診断できる
- 個人に合った治療薬や施術を提案
- 進行度に応じた長期的サポートが可能
まとめ
本記事では、危険な抜け毛か正常な抜け毛かを毛根から判断する方法について解説しました。AGAなどの進行型抜け毛の場合は、早めの対処が重要となります。
本記事を参考に、改めて自分の抜け毛を確認して問題がないかどうか確認しましょう。








