抜け毛は誰にでも起こる生理現象の1つです。しかし、抜け毛の量が以前よりも増えたり、朝目覚めた時に枕に抜け毛が大量についていた場合、将来薄毛にならないかと心配に思う方も多いでしょう。
抜け毛の量は他人と比較することが難しいこともあり、自分の抜け毛が異常なのか判断できずに1人で悩む方も少なくありません。
そこで今回は、一般的な抜け毛の本数や枕につく抜け毛の原因を詳しく解説します。枕につく抜け毛を予防する対策についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
一般的な抜け毛の本数はどのくらい?
毛髪は1つの毛穴から2~3本生えており、1㎠あたりにすると150本程度が一般的です。
これらの情報を基に計算すると、日本人の平均毛髪本数は約10万本と言われています。
約10万本も生えている毛髪のうち、1日の抜け毛の量とはどのくらいなのでしょうか?ここでは、一般的な抜け毛の本数について確認してみましょう。
1日に抜ける本数は50~100本が一般的
髪の毛にはヘアサイクルがあり、古くなった髪の毛は自然に抜け落ち、新しい髪の毛に生え変わります。健康な毛髪の場合、1日に抜ける本数はおよそ50~100本が一般的と言われています。
ただし、抜け毛が100本以上だからといって必ずしも異常とは言えません。あくまでも平均的な本数であり、頭皮の状態や季節などさまざまな要因により抜け毛の本数は変わります。
特に、強いストレスを感じている場合や季節の変わり目などは、抜け毛の量は増えやすく1日200本以上抜ける場合も珍しくありません。さまざまな要因により、抜け毛の本数は変化することを知っておきましょう。
抜け毛対策が必要なケース
抜け毛が気になる方でも、心配する必要がないケースがほとんどです。しかし、以下の場合は抜け毛対策が必要な可能性が高いと言えるでしょう。
- 抜け毛の本数が、以前よりも明らかに増加した場合
- 1日100本以上抜け毛が長期間続く場合
特に、抜け毛の本数が急に増加した場合は、AGA(男性型脱毛症)やなにかしらの疾患を発症しているおそれがあるため注意が必要です。
抜け毛の状態もチェック!薄毛のサインとは
抜け毛が気になる場合、抜け毛の本数ばかりに気を取られがちです。しかし、抜け毛の本数だけでなく、抜け毛の状態をチェックしてみることも大切です。
ここでは、薄毛につながりやすい抜け毛の特徴を一緒に確認していきましょう。
抜け毛チェック①:毛髪の長さ
抜け毛の長さが短い場合は、ヘアサイクルの初期段階つまり成長の途中で抜け落ちた可能性が高いです。
ヘアサイクルの仕組み
期間 | 状態 | |
---|---|---|
成長期 | 約4~6年間 | 毛母細胞が活発に分裂し、成長し続ける時期 |
退行期 | 約3週間 | 毛母細胞の働きが低下し、毛根が頭皮の朝日部分に移動する時期 |
休止期 | 約3~5か月 | 成長が止まり毛が抜け落ちる時期 |
短い状態で毛髪が抜け落ちるのは、活発に新しい毛髪が成長している証拠です。しかし、短い抜け毛が急激に増加した場合、ヘアサイクルの乱れや頭皮トラブルを起こしている可能性があるため注意が必要です。
反対に、抜け毛の長さがヘアスタイルそのままの長さと同じくらいであれば、ヘアサイクルの休止期を迎えた正常な抜け毛であると考えていいでしょう。
抜け毛チェック②:毛髪の太さ
日本人の平均的な毛髪の太さはおよそ0.1mmです。生まれつき太い人で0.15mm、細い人で0.05mm程度で、男性よりも女性の方が太い傾向にあります。
毛髪の太さのピークは、男性の場合20歳前後、女性の場合は30歳前後で、加齢とともに毛髪は細くなり、ハリやコシが失われボリュームが減ります。
太さには個人差がありますが、以前よりも毛髪がやせ細ってきたり、年齢に対して細かったりする場合は注意が必要です。
抜け毛チェック③:毛根の形状
健康で太くハリがある毛髪の毛根は、白っぽい色をしておりマッチ棒のように少しふくらんでいます。毛髪だけでなく、毛根も太くハリがあります。一方、なにかしらトラブルを抱えた毛髪はやせ細っており弱々しい状態です。毛根が以下のような形状の場合は注意が必要です。
毛根の確認ポイント
- 毛根が小さくふくらみがない
- 毛根の先端から毛が生えている
- 毛根がギザギザしている
- 毛根が尖っている
ストレスや栄養不足などによりヘアサイクルが乱れているおそれがあります。抜け毛の毛根をしっかり観察してみましょう。
枕につく抜け毛が多いのはなぜ?
普段の生活での抜け毛はもちろん、朝目覚めたときの枕についた抜け毛は特に気になりますよね。ここでは、枕につく抜け毛が多い原因について詳しく解説します。
頭皮環境が悪化している
枕に大量の抜け毛がつくという方は、頭皮環境が悪化していることが考えられます。以下のような症状がある場合は、頭皮環境が悪化している可能性が高いため注意しましょう。
- 痒みがある
- フケが発生している
- ベタベタしている
特に、頭皮に痒みがある場合、かきむってしまいがちです。頭皮をかきむしりダメージが加わると、さらに頭皮環境を悪化させてしまう可能性があります。
季節的な要因の可能性も
枕につく抜け毛の量が急に増えたと感じた場合、季節的な要因であるケースも少なくありません。
季節の変わり目は、自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなるため抜け毛が多くなりがちです。特に、春と秋は1年の中でも抜け毛が増えやすいと言われており、200〜300本の抜け毛が生じることもあります。
通常時の2~3倍程度であれば自然現象の範囲内のため、深く心配する必要はありません。ただし、抜け毛がおさまらず長く続く場合は注意が必要です。
AGA(男性型脱毛症)
ヘアサイクルの乱れにともなう抜け毛が疑われる場合、AGAである可能性が考えられます。
AGAは進行性の疾患で、男性ホルモンや遺伝によってひき起こされる脱毛症です。AGAの場合、セルフケアのみで薄毛を予防・改善するのは難しいのが現実です。しかし、AGAは内服薬や外用薬などで治療することで薄毛の進行を予防できます。
治療せずにそのまま放置してしまうと、薄毛はますます進行してしまうため早く治療をスタートすることが大切です。抜け毛が気になったら、できるだけ早めに医療機関を受診し、専門的な治療をスタートさせましょう。
AGA以外の脱毛症
男性型脱毛症であるAGA以外にも、さまざまな脱毛症があります。
代表的な脱毛症は下記の通りです。
- 円形脱毛症
- 女性型脱毛症
- びまん性脱毛症
- 休止期脱毛症
- 牽引性脱毛症
それぞれの脱毛症によって原因や治療方法は異なります。異常な抜け毛が気になる場合は、原因を特定するためにも医療機関を受診することをおすすめします。
枕につく抜け毛を減らすセルフケア
枕につく抜け毛は、人によってさまざまな原因が考えられます。ここでは、枕につく抜け毛を減らすセルフケアの方法をご紹介します。
AGAをはじめとした脱毛症が原因の抜け毛の場合は、専門の医療機関での治療が必要となりますが、治療とあわせてセルフケアするとより効果的です。ぜひ参考にしてください。
丁寧にシャンプーする
健康な毛髪を育てるためには、頭皮環境を整えることが大切です。日中の汗や皮脂などを洗い流さずにそのまま就寝すると、雑菌が繁殖し頭皮環境を悪化させる要因になりかねません。シャンプーでしっかり洗浄し、清潔な状態でベッドに入りましょう。
また、シャンプー前は丁寧にブラッシングすることをおすすめします。頭皮や髪の毛に付着した汚れが落ち、シャンプーの泡立ちがよくなります。泡残りがないようにしっかり洗い流すことも大切です。
シャンプー後の濡れたままの頭皮は雑菌が繁殖しやすいため、なるべく早くドライヤーで乾かしましょう。
寝具を清潔に保つ
就寝中は、コップ1杯程度の汗をかくと言われています。身体だけでなく頭皮ももちろん汗をかきます。枕やシーツには、雑菌のエサとなる皮脂などの汚れがたまりやすいです。頭皮を清潔に保つためにも、枕カバーやシーツなどの寝具はこまめに洗濯することが大切です。
また、頭皮や髪の毛が長時間触れる枕カバーは、素材選びにも重要です。合成繊維の枕カバーは、摩擦が起こりやすく髪の毛にも負担が大きいと言われています。一方、コットンやシルクなどの天然素材を使用した枕カバーは、摩擦が少なく、髪の毛にも負担がかかりにくいためおすすめです。
生活習慣を見直す
抜け毛を予防するためには、日ごろの生活習慣を見直すことも大切なポイントです。頭皮環境を良好に保つことで、髪の毛は健康的に成長すると言われています。
以下の点に気をつけて、生活習慣を見直して抜け毛を予防しましょう。
- 1日3食バランスの良い食事を心がける
- 睡眠の質を向上させる
- ストレスは適度に発散する
- 過度な飲酒や喫煙は控える
食生活では、いろいろな食材からバランスよく栄養を摂取することが大切です。中でも、健康な髪の毛を育てるために欠かせないのが「たんぱく質」と「亜鉛」です。食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントを上手に活用しましょう。
寝る前のスマホは脳を覚醒するため控え、寝具や照明にこだわるなど、リラックスできる就寝環境を整えるのもおすすめです。お気に入りの音楽を聴いたり、趣味に没頭するなど適度にストレスを発散しましょう。
まとめ
抜け毛は誰にでも起こる生理現象で、1日50~100本程度であれば心配はいりません。
もし、以前よりも急激に抜け毛の量が増え、枕に大量の抜け毛がつく場合は、頭皮環境が悪化している可能性があります。抜け毛の状態もしっかり観察し、薄毛につながりやすいと判断した場合は早めに対処することが大切です。
なお、AGAをはじめとする脱毛症が疑われる場合は、できるだけ早く専門の医療機関を受診することをおすすめします。